インソールとは
これまでの人類は、寒暖や擦過(摩擦などのすり減り)などから身を守るために、衣類を発明してきました。
時代とともにその形状や機能も変化し、より良いものへと作り変わっていきました。
ですが、近年衣類だけでなく靴に対して注目が当たるようになり、日常生活やスポーツ時に体への負担を減らすように”インソール”が開発されてきました。
ですが、インソールはあくまで靴に入れる中敷ですので、適切な靴を選ぶことができなければ、インソールの効果は十分に発揮されません。
現代の日本人の靴選びの傾向としては、世界的に見ると低水準であると言われております。
若者はデザインを優先することで、自分の足のサイズに合っていない靴を選択してしまったり、高齢者に関しては、脱ぎ履きがしやすいという理由で大きめの靴を履いたり、靴紐を緩く結んだりしているなど体への負担という点で靴を選んでいる方は多くはないと感じます。
本記事では、インソールの効果やメリット、デメリットなどインソールについて深くお話させていただきます。
まずは靴選びがインソールを作る上での初段回であることを念頭に、お読みいただきたいです。
インソールの説明
インソールとは中敷のことであり、革靴やハイヒールなどには挿入されていることはあまりありませんが、ランニングシューズやスニーカーなどには初めから挿入されている場合がほとんどかと思われます。
ですが、床面との唯一の接点である、足部は人体の関節の中で最も複雑な動きをします。
また、生活環境や習慣は個人個人によって異なるため、個別性が求められるのがインソールになります。
そのため、だだクッション性が良いとか、熱の吸収が良いなど単純な機能ではなく、各々の必要性にあった物を使用する必要があります。
インソールを作成している大体の日本企業は、海外から輸入を行い、それを日本人の身体の構造や特性に合わせて、改良を行なっているため、豊富や知識や高い求術が要求されるものになります。
当院のインソールもニュージーランドの足病学会にて作成された物を採用させていただいており、医療系の国家資格を所有した者にのみ制作を許可しているものになるため、市販のものより効果をより実感しやすいと思います。
また、あくまでインソールは、靴に合わせた治療用装具なので、履くだけで歩きやすさや痛みの即時的改善がされる事はありますが、骨の変形が治ったり筋力が向上するようなものではないため、痛みがある場合は、しっかり治療を行う必要があり、インソールは生活の中の負担を少しでも減らす補助的な役割という認識で使用していただく必要があります。
インソールの効果
インソールは、スポーツシューズやスニーカーなどに元々挿入されているものや市販の物とご自身の体を元に作成するオーダーメイドの2種類があります。
元々のものや市販の物ですと、効果的な面はあまり多くは期待できず、足の汗を吸い取ってくれたり、足裏を少し刺激して疲れを軽減したり、クッション材料によって衝撃を吸収してくれたりという効果があります。
ですが、各個人の寸法を基に作成した、インソールですと、
①足のアーチ(土踏まず)の保護や支持
②足の変形の矯正機能
③脚長差(左右で足の長さが異なっている状態)の代償機能
④免荷(体重から来る足への負荷の軽減)機能
⑤安静時や動作時のバランス制御機能
⑥歩きやすさや痛みが軽減することによる快適性の向上
以上の6つの効果が期待できます。
しっかり足部の評価を行いながら、計測と作成を行うため、市販のものよりも多くの効果が期待できることやより高い満足感へとつながっていきます。
インソールのデメリット
挿入によって多くのメリットが期待できるインソールですが、もちろんデメリットも存在します。
・装着によって身体に悪影響を与える可能性がある。
インソールを挿入することによって、足から体の重心や姿勢を整えてくれますが、
急激な変化が起こるとそれに対応するために膝関節や股関節など足より上の関節への負担を与える可能性があることです。
そういった理由で、挿入によって逆に痛みが出現する事も稀に見られます。
・靴に挿入するが、靴の大きさやタイプによって使用できるかが異なってしまう。
運動靴やスニーカーなどには挿入可能ですが、革靴やパンプスなど形状によるスペースが確保できない場合は挿入できない可能性があります。
・日本人の生活様式には不一致の点がある。
日本人は屋内では靴を履く習慣がないため、常時着用したい場合は、インソールが挿入できるサンダルを着用するなどの工夫が必要になる。
以上の3つのデメリットも考慮が考えられます。なので、ご自身の悩みによって専門家と相談し、検討してみるのが良いかと思われます。
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よくある質問
インソールに関してのよくある質問をご紹介させていただきます。
①インソールを入れると体の痛みは治りますか。
インソールは万能なものではありません。
体の痛みが発生している原因は、さまざまな要因が重なる事で見られます。
なので、痛みに関してはしっかり治療院に行き、専門家に体の状態を評価してもらう事が治す為の一番の方法です。
インソールはあくまで足元から体の負担を軽減してくれる補助的な役割であることを認識した上で、導入をご検討して下さい。
②インソールを入れる靴はなんでも良いのですか。
基本的には、運動靴やスニーカーに挿入させていただいております。革靴やハイヒール、パンプスは形状やスペースなどの面から挿入することが困難な場合が多いですが、挿入できる場合もございますので、一度靴を拝見し、判断させていただきます。
③インソールを入れると起こる問題はありますか。
インソールを挿入することにより、身体には一時的に不慣れな環境となり、問題が発生する場合があります。
具体的には、
・足裏や指の擦れ
インソールによって重心の移動を正しく導くことによって、普段動きが少ない関節の動きが見られることにより、インソールと足裏や指での摩擦が生じて、擦過(擦れる)が起こる可能性がる。
・関節の痛み
これまで良くない体の動きや骨盤の歪みなどを足元で逃していた場合、インソールを挿入することで足元の動きが矯正されて逃れる場所がなくなり、周囲の関節の負担となり痛いが見られる事があります。
例えば、膝の動きが出ていない分を足元がより動かすことで、痛みを逃がしていた場合、インソールよって足元がしっかり固定されることによって必然的に膝の動きが必要となり、痛みが見られる事があります。
ですが、こういった場合は、当院では、問題となっている膝の治療も同時に進めていき、痛みなくインソールの効果を最大限引き出せるように進めていきます。
参考文献
・安部浩之、中川ら:インソールマニュアル第2版 三輪書店 2022
・青山 井上ら:靴インソールの使用と重心移動の検討 愛知県理学療法学会誌 35(suppl): 55-55, 2023